バイクインプレッション

Aprilia NA850MANA(2)

NA850MANA(2)

21世紀型イージーライダー

(1)の続き

 もちろんワインディングで最高の効率を引き出そうとするなら7速それぞれをレブリミットまで引っ張った方がいいのだけれど、その必要も感じないほどATモードがよくできているってこと。ちなみにATモード中でもシフトダウンは可能なので、減速で自然にエンジンブレーキも使える。

 ハンドリングもいたって普通。ややサスペンションがソフトで沈み込みが大きい傾向があったけれど、これはスポーツ性より快適性に振った証拠。特にフロントフォークに調整機構がついていないから、僕がスポーツユースメインに使うならフォークオイル交換やスペーサーの追加で対策するだろう。

 つまりMANAはクラッチレバーを持たない、まったく普通のロードスポーツなのだ。本当に「普通に」乗れてしまう。これだけ新機軸のメカが違和感なく普通に乗れるってことがスゴい。

「都市部がどんどん走りにくくなっていることで、ヨーロッパでも都市部でスクーターが走り回っている。けれどやはりスポーツを忘れてはオートバイでなくなってしまうと思う。そういう思いをこの先のスタンダードとすべく形にしたのがMANAなのです」とはアプリリアジャパン代表のアンドリュー・フレッドさん。

 ヘルメット収納スペースにバッグを放り込んで走り出し、目的地に着いたらヘルメットを仕舞ってバッグを取り出す。ユーティリティ性の高いスクーターと同じ便利さと気軽さがこの運動性の高いスポーツバイクで味わえるのだ。

 MANAは本当に次世代のスタンダードとなってしまうかもしれない完成度を持っていた。ホンダDNー01はDNとしてのんびり走るイージーライディングに特化したATスポーツ、そしてMANAはもっと「オートバイ」としてのライディングを楽しむことができるイージーライディングATスポーツ。

 どちらもほんの数ヶ月前には体験したこともなかった新しいメカニズムとフィーリング。21世紀型イージーライダーが面白くなってきたね。

「ニーズがあればアイディアが生まれてイノベーションが起こる。そこにスマートさとパッションを加えたんです」うーむ、やるなぁ、イタリア。(撮影/南 孝幸 文/中村浩史)

主要諸元 ●エンジン:水冷4ストロークV型2気筒SOHC2バルブ ●内径×行程(総排気量):88×69mm(839cc) ●最高出力:76.1PS/8000rpm ●最大トルク:7.4kg-m/5000rpm ●ミッション:AT/MT選択式電子制御CVT式オートマチック ●全長×全幅×全高:2080×800×1130mm ●軸距:1463mm ●タイヤ前・後:120/70ZR17・180/55ZR17 ●タンク容量:16L ●シート高:800mm ●価格:119万8000円


NA850MANA(2)
エンジン、フレームとも専用設計のMANA。リアサスは左にオフセットマウントされたモノショックで、スイングアームはクランクケース後端にマウントされるピボットレスフレーム構造。

NA850MANA(2)
839ccのVツインはツインプラグを採用し、通常のミッション部分にCVTを装備。そこからドライブスプロケットを介してチェーンドライブとなる。

NA850MANA(2)
左一本出しのマフラーはクランクケース後端の消音室を通ってレイアウトされる。キャタライザーを装備し、ユーロ3排気ガス規制をパス。

NA850MANA(2)
異形ヘッドライトはヨーロピアンネイキッドのスタンダードスタイル。アルミと樹脂の組み合わせがユニークで、走行風をうまく流しノンカウルなのに多少の防風効果があった。

NA850MANA(2)
タコメーターはランプ点灯のみ。右のディスプレイ部はドライブモード表示と外気温・時計・水温計を装備し、ディスプレイ上のアプリリアロゴ、右にガソリン残量警告灯がある。

NA850MANA(2)
シート下にタンクスペースを設けたためか、シート高は800mmながら数字よりやや高めに感じられる。ライダーは178cm/75kgで、170cm台のライダーならば足つきに不安はないはず。


著作:MotorMagazine.ltd